Jan 15, 2011

勧酒


唐の時代に于 武陵(う ぶりょう)という方の書かれた
五言絶句という詩と巡り会いました。
絶句(四つ行)で、五言(五つの漢字)を使った「勧酒」という詩。

勘酒     (酒を勧む)
勧君金屈巵 (君に勧む金屈巵<きんくつし>)
満酌不須辞 (満酌辞するを須<もち>いず)
花發多風雨 (花發<ひら>けば風雨多く)
人生足別離 (人生別離足る)

上記は原文、カッコ内は読み下し文なのですが、
井伏鱒二さんが名訳を残しています。

この杯を受けてくれ
どうぞなみなみ注がしておくれ
花に嵐のたとえもあるぞ
さよならだけが人生だ

お尻の二行だけ読むと、非常に儚い詩の様に感じますが、本当の意味は
「今この酒を飲み明かして今を楽しく生きよう、
すぐに別れは来るけれど今はここで私たちは膝を突き合わせているから」
日本酒、とは直接関係ありませんが、
お酒を交わすときに結ばれる、人と人とのリアルな距離感や絆を映している
とっても素敵な詞だと思いました。

今膝を突き合わせている目の前の人を、大切にしよう。
そして、今日も、乾杯。

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